トレブルフックをシングルフックに交換するには

まずはじめに

最近いくつかの管理釣り場で、シングル・バーブレスフックのみ使用可というルールにしている釣り場が出てきました。そういう釣り場では、多くのルアーに標準で付いてくる3本針のトレブルフックは使えません。そこでこのページでは、トレブルフックをシングルフックに交換する方法を紹介します。しかし、多くの市販ルアーは標準で付いてくるトレブルフックを付けたときに最適な動きをするように調整されていますので、そのトレブルフックをより軽く水の抵抗が少ないシングルフックに交換するとルアーの泳ぎ方が変わってしまいます。正直に言って、その後いかなる調整をしても全く以前のトレブルフックの状態と同じ動きをすることはないと思ってください。しかしルールはルールですので守らなくてはなりません。決められたルールの中でいかにルアーにいい動きをさせ、魚のバイトを誘うかもルアーフィッシングの楽しみの一つだと思います。できれば最初からシングルフック用に調整されているルアーを購入するに越したことはないのですが、手持ちのルアーにトレブルフックが付いていて、どうすればそれをシングルフックに交換できるかご存知でない場合、このページの手順を参照してください。

道具について

ルアーに付いているフックを交換するには、まずトレブルフックが付いているスプリットリングをこじ開け、リングからトレブルフックを抜かなければなりません、慣れてくればツメ先を使ってリングをこじ開けフックを抜くことも出来るのですが、うっかりすると指先をフックで刺してしまいます。世の中にはリングオープナーという便利な道具がありますので、慣れないうちは必ず道具を使うようにして下さい。それだけでかなり怪我を減らすことができます。

Coatac のスプリットプライヤーです。定価1260円。個人的にはこれが一番使いやすいと思っています。
同じく SMITH のスプリットリングオープナーです。約1500円程度。こちらの方が先が鋭く小さなスプリットリングも開けることができます。
これもSMITHのオープナーです。釣り場に持っていくのには便利な大きさで値段も630円でした。
プライヤーの先はこのようになっています。下の部分をスプリットリングに通し、上のとがった部分をリングの2重になっている間にあてて、挟むことによって、リングを押し開きます。
左の図がリングを挟んだところです。
別の方向から見るとこうなります。
このリングが開いたところにフックのアイ(輪になった部分)を通し回すことによって、フックを装着したり、外したりします。
このようにツメが縦になっているオープナーもあるのですが、いまいち私には使い良くありませんでした。

フックについて(アイの向き)

シングルフックは、アイの向きと形状がいくつかあります。それぞれ、プラグ用、スプーン用、スナップオンフック、スイミングフックといいます。それぞれで付け方が違いますので注意して購入してください。

 
プラグ用フック

プラグ用のフックは、針のカーブと同じ面にアイがついています。プラグは通常引き方向に水平にプラグ側のアイがついていますので(縦アイ)、スプリットリング1個を介してプラグ用のシングルフックを付けるのが普通です。
スプーン用フック

スプーン用のフックは、アイが針のカーブの面に直角についています。ですからスプリットリング1個だと針が横を向いてしまいます。スプーン用のフックを付ける場合は、ウエイト調整も兼ねてスプリットリング2個を介してシングルフックを付けるという手があります。その際、スプリットリングの大きさでウエイトを調整することもできます。
スナップオンフック

最近はアイの一部が切れていて直接ルアーに装着できるスナップオンタイプのフックも出てきました。ヴァンフック株式会社のスナップオンフックがその例です。この場合、元からついているスプリットリングも外してしまいます。
交換のしやすさではこのタイプが一番便利なのですが、まだ数や形状が少ないのが難と言えます。
スイミングフック

アイがフックと一体になったものとは別に、ケブラーなどの柔軟性があり強靱な素材でアイを作ったスイミングフックというものもあります。これを使うとフックをルアーから離すことができ、トッププラグなどを使う場合フッキング率を上げることができます。やはりスプーン用とプラグ用がありますので、付け方は上を参照して下さい。写真はスプーン用のタンデム(2本フック)を2つに分けて前後に付けています。

スプリットリングからトレブルフックを外す方法

シングルフックを付けるためには、まずスプリットリングからトレブルフックを外さなければいけません。トレブルフックを取り外す作業はフックで指を刺す危険がつきまといますので、慣れないうちは面倒でもまずトレブルフックの返し(バーブ)をペンチで潰しておいた方がいいでしょう。バーブがつぶれていれば、たとえ刺してしまったとしても比較的簡単に抜くことができ、大怪我に至らないですみます。
フックを外すには、ルアーに付いているスプリットリングを回し、2重の輪の境目(2重になっていない部分)を下に向ける必要があります。そしてその境目の近くにトレブルフックのアイを持っていってください。上記の「道具について」で説明した要領で、スプリットリングオープナーを使ってスプリットリングを押し開きます。押し開く場所は、境目の近く1mmくらい余裕を残したところが良いようです。押し開いたら、トレブルフックのアイを輪と輪の隙間に滑り込ませ、そのままスプリットリングを回して1周させると抜くことができます。、

輪が2重になっていないところにトレブルフックのアイをもっていきます。この位置ならちょっと動かすだけで、輪と輪の隙間にアイを滑り込ませられます。
スプリットリングをオープナーで押し開いたら、針先を持って輪と輪の間にアイを滑り込ませます。

シングルフックを装着する方法

スプリットリングからトレブルフックが抜けたら、次はそのスプリットリングにシングルフックを装着することになります。スプリットリングにシングルフックを通す手順は、トレブルフックを外す手順と同じで、輪が2重になっていない部分を下にする。オープナーで輪と輪の間を押し広げる。輪と輪の間にシングルフックのアイを通し、1周させるという手順になります。違いは、輪の内側からアイを通して1周させ抜くか、輪の外側からアイを通して輪の中に入れるかの違いだけです。ここでは、その手順の図示は省略して、フックの向きについて説明します。
トレブルフックは針が3本ありますから、魚がどの方向から喰っても1本か2本の針が口の中にかかる仕組みになっています。しかしシングルフックは1本だけですから、アワセを入れた時、魚の上アゴにフックがかかる様にフックの向きを向けてやらなければなりません。ルアーのテールのフックは、ですから通常後方に針先が向くようにしてやります。こうするとボトムを引いた時にも底にアタルのは針の背の部分になりますので根ガガリもしづらくなります。管理釣り場のルールは、シングルフックオンリーとされた場合、シングルフック1本だけ、シングルフック2本まで許される場合、シングルフックであれば複数本許される場合など実は違いがあります。シングルフック1本の場合は、トッププラグを浮かせて釣る場合を除いて通常テールのフックのみを装着します。魚はルアーの後ろから追って喰う場合と、下から喰い上げる場合があります。テールフックは追い食いの時にフッキングしやすく、ベリーフックは喰い上がりの時にフッキングしやすいのですが、ルアーの引き方しだいで喰い上がりの後にルアーを追わせることが出来る可能性もありますので、シングルフック1本の場合はテールフックを選択する人が多いようです。
フック2本までの場合は、テールフックに加えてベリーフックを装着することができます。その場合、ベリーフックの向きが問題になります。底を引く場合はやはりテールフックの場合と同じように根ガガリ対策でフックの針先を後ろに向ける方が有利ですが、中層もしくは表層を引く場合、魚があらぬ方向からベリーを喰った時ベリーとテールで針の向きが違った方が少しでもかかる確立がいいのではないかという理由から、ベリーの針の先端をテールと逆向き、すなわち頭に向ける人も多くいます。フッキングが本当にいいかどうかは定かではありません。
シングルフックの本数の制限がない場合、ベリーに逆向きに複数の針を付ける方法もあります。その場合針は左右に向けてやるのが普通です。

テールフック1本の例。
テールとベリーに1本づつの例。同じ向きにすると根ガカリしずらい。
ベリーのフックを逆向きにした例。こうするとなんかフッキング率が上がるような気がする。(気のせいかもしれない)
シングルフックの本数に制限がないなら、ベリーのフックを2本左右に向けて付ける手がある。こうするとトレブルフックとそうフッキング率が違わないような気がする。(きっと気のせいで、トレブルの方がかかる率はいいはずだけど)

ウエイト調整

トレブルフックをシングルフックに替えてやるとどうしてもフックの重さの違い、水の抵抗の違いから動きが違ってしまいます。中には軽くなってかえって動きがきびきびと良くなったという例もあるにはあるのですが、多くのルアーは買った時に付いているフックの状態で一番よく泳ぐように調整されています。ですから、少しでも元の状態に近づけるために、多少のウエイト調整が必要となります。ウエイト調整の方法としては、以下の様な方法があります。

  1. より太軸の重いフックをつける。例えば最近発売されたオーナー針のC'ultiva S-75BLM を使う。
  2. スプリットリングをより太いサイズの大きなものに替える、もしくは複数つなぐ。こうすると水の抵抗も増します。
  3. 板おもりを貼る。ラパラの板おもりのようにルアーのアイを通す穴が空いているものもあります。
  4. 粘着シート付き板おもりを3枚くらい重ねて貼り、ポンチで抜いて小さなおもりを作り、任意の場所に貼る。
  5. フックに糸おもりを巻く。 (マニア用。手間がかかります)
ラパラの板おもりをベリーフックの位置に貼った例。

この例ではベリーフックを装着していますが、ベリーはフックなしにする場合、この位置におもりを貼ると前後のバランスがいくらかよくなるようです。
貼るためには、一度ベリーのスプリットリングを外す必要があります。
尻の下に板おもりを貼った例。

テール側におもりを付けると遠投がきくようになりますがルアーの動きは小さくなります。シャロークランクなどの場合、テールにおもりを貼り下げてやると、テールフックのフッキングが良くなります。

おもりには、鉛の板おもりと、タングステンシートがあります。いずれも粘着シートが付いていてそのまま貼ることができるものが出ています。
のどの所にポンチで抜いた小さなおもりを貼った例。

おもりの作り方TOM高木さんのページを参照してください。ルアーによって最適な位置は異なります。貼る位置によって動きが変わりますので、一番いい位置を探してください。

このおもりの場合、剥がれやすいのでおもりの重さと位置が決まったら瞬間接着剤で固定することを推奨します。剥がれたおもり(鉛)を魚が食べてしまうこともありますので、剥がれないように注意してください。

最後に

このページでは、ごく初歩的なフック交換のしかたについて説明しました。ルアーの動きは、交換するフック、貼るウェイトの位置や重さによって変わります。シングルフックへの交換をしかたなくいやいや行うのではなく、動きの違いやフッキング率の違いを楽しむようにすると、ルアーの楽しみが少しは深くなるのではないでしょうか。な〜んちゃって。